力強い土味の表情を生かすために、
鶴見さんが選んだ方法は、
木の灰をかけてガンガン焼くという、
シンプルな方法。
器作りでは、価格も腕の内なので、
質とのバランスをとることは、
作り手としての大切な姿勢です。

手ひねりという、ちょっと非能率的な作り方なのですが、
そこは、それにこだわった鶴見さん。
ロクロに負けないようなスピードと、
なにより、質感の表現では、鶴見さんらしさを出し切っています。
焼成が安定するために灰や長石で調整する釉薬ではなく、
灰をそのまま器に施して、溶けるまで、
ひたすら焼くという方法は、
これも鶴見さんらしさの追求からいえば、
採算性以上の魅力をもっているので、
たくさんの失敗からえた経験で、
土の限界まで焼き切っています。

こうした土味の器を焼くには、
薪窯が理想ではあるのですが、
器をして作り出すには、
価格の面では、高価になりすぎてしまいがち。
それに比べれば、安定した価格で、
提供できる方法として、選択して続けています。
とはいえ、溶ける時には一気に溶けてしまうのは、
釉薬ではなく、灰ゆえの欠点であり、
同時に、美しい溶け溜まりや、釉調を見せてくれます。
しかし、溶けすぎれば、棚板についてとれなくなってしまいます。
ここは、先人の知恵をかり、鶴見さんは貝高台で解決。

貝高台というのは、海に近い常滑らしい、
トチン(めたて)の方法です。
拾ってきた貝に粘土をつめて、
それを緩衝にして浮かして焼く方法です。

貝が焼けると、酸化カルシウムになり、
粉になりやすいので、くっつき防止になります。
その時に、巻き込んだ釉薬が貝の文様を写し取り、
残した景色を、お茶人たちが「貝高台」と呼んで景色として、
楽しんだそうです。
甘庵
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