器は使う人が、心豊に暮らす道具として作られたものです。
だから、使われてこそ作られた意味を持ちます。
ものである以上使うことで、必ず消耗はしていくでしょう。
ただ、使う人のちょっとした優しさ一つで、器の寿命が延びるだけでなく、
使われてこそ完成する器の美しさを、見ることも出来ます。
“うつわ”へのごくごくあたりまえの思いやりを、
整理して見ますので参考にしてください。
これに皆さんの暮らしに合わせた、
方法を加えていって、皆さんの思いやりを育ててください。
今日は、5つあげてみた思いやりのうちの3つをご紹介します。
●思いやり1
やきものは、特に土ものは、(出来ることなら石ものでも)
使う前に、水やお湯にくぐらせて下さい。
そうしていただくだけで、冷たいものは冷たく、
暖かいものは暖かく食べることが出来るだけでなく、
お茶や汁を注いだり、盛り付ける前に、素地に水がしみ込ませておくことで、
器も急に汚れにくなり、使っていただくほどに、
侘びた美しさに変わっていくことでしょう。
●思いやり2
器に使われるやきものは、性質で大きくわけて三つに分けられます。
土ものといわれる陶器とせっ器、石ものともいわれる磁器との三つです。
陶器、せっ器、磁器の順に堅く、素地が緻密になり、
吸水性が少なくなります。
洗うときや重ねて収納するとき、添える匙や箸を選ぶとき、
器に急に熱を加えたり急冷するときなど、
三種類のやきもののがおおよそでも判別でき、
性質がわかると扱いも自然と変わることでしょう。
ただ細かく分ければ、石ものと土ものの中間のような半磁器や、
無釉の多いせっ器の素地に釉薬が掛かっているものなどがあり、
少しややこしくなりますし、あいまいなやきものもありますから、
大まかでも、わかれば十分です。
それでも、ご自分の持っていらしゃるやきものの、
堅さや素地の緻密度合の順位が付けられるといいですね。
●思いやり3
やきものは熱には強いのですが急激な温度差には、案外弱いのです。
その意味で通常のやきものは、直火に掛けられません。
直火ではないのですが、温度差の出来やすい電子レンジも、
運が悪いとアクシデントが発生しないとはいえません。
ところが、熱には強いのでゆっくり熱くなるオーブンや、
蒸し器や湯煎には、問題なく使えます。
逆になりますが、熱くなったものを冷凍庫などで急激に冷やすのも、
同じ理由でなるべく避けたいものです。
つづく
閑庵
