うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

春を想わす器 12

昨日から日本列島を春の嵐が通り過ぎました。
荻窪界隈は夜中に雨が強く降りました。
雨は上がりましたが風はまだ強めに吹いて、
窓の外に見える銀杏並木の新緑が揺れています。

一昨日昨日は気温が上がり、
少し前まで冬の衣類が手放せなかった甘庵も、
一気の綿や麻の素材になりました。
今日はそんな綿のような自然素材にイメージが重なる、
久保田信一さんの長石釉鉢をご紹介します。

17_kubota_1392.jpg
久保田信一 長石釉盛り鉢 8,100円
径23cmH6cm


ナチュラルな素材感がお好きでその質感の延長で、
柔らかい土味の残った焼き物をお求めになり、
使ってみると縁ががたがたになったり、
あっと言う間にシミが出来てしまったりという、
苦い経験をされて土ものや手仕事の”やきもの”を、
避けるようになった方が少なくないようです。

17_kubota_1393.jpg

残念です。
とても残念。
その”やきもの”は素材をきっちり活かしていなかってだけなんです。
土味を活かすというのは土の生感ではなく、
”やきもの”という通りにしっかりと焼くことが第一です。
その上での素材感が大切になります。

17_kubota_1396.jpg

この鉢は陶器らしさを引き出す仕上がりになっています。
長石釉というシンプルな乳白色の釉薬を絵付けもなく施し、
しっかりと焼いて出来上がっています。
この”しっかり焼けかれている”見極めは、
素地の土の中に自然の含まれていた鉄分が、
溶け出して釉薬と絡みあってソバカス状に点在して見えています。

17_kubota_1395.jpg

これを不完全とみるか、
ナチュラルと見るか・・・。
好みになるのでしょう。
真っ白なパンがよいか、全粒粉のパンがいいか、
更級そばか田舎そばかも、どちらも美味しいですし、
それぞれの魅力や良さを持っています。

ざっくりの表現として、
精緻な白磁も素敵ですが、
土味のある陶器もまた素敵です。
ただし、日常の総菜は陶器の方が盛りつけしやすいかも・・・。
その意味でのこの鉢は日常使いのための鉢です。
丈夫で盛り映えしてバンバン使える日常食器です。

               甘庵

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