うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

暮らしの豊かさを 見直してみませんか

不況といわれながらも、飢えて死ぬことなどないぼくらの暮らしは
とても豊かなはずなのに、心まで豊かといえるかな?
とても悲しい事件なども、心の貧しさからと、思うのはぼくだけ?

ぼくは器屋だから、“うつわ”を通して社会と接点を持ち、
“うつわ”を通して社会に貢献しながらも糧を得る。
プロとして、まっとうな仕事をすれば、
あまりはずれないのではないかと、
なんとかがんばっています。

先ほどもおいでになったお客さまから、
同じ街の同業の店がまた閉じたと伺いました。
自分の目で確かめてはいませんが、
本当ならとても残念です。
商売だけのことなら、職種替えか閉店を早くした方が、
負債は大きくならないでしょう。

“うつわ”への頑固さとおなじくらいに、
商いの立ち振る舞いが不器用なぼくは、
いつも取り残されてしまいます。
それでも今日もブログに“うつわ屋”として伝えたいことを、
書き込みましょう。

世界中の多種多様で豊かな食材と料理が、いま私たちの食卓にあがります。
和食、中華、フレンチ、イタリアン、タイ、ヴェトナムと、
歴史上もかつてないほど多国籍の料理が、根付こうとしています。
同時に私たちの祖先は、長い歴史のなかで時間をかけて、
様々な器を発明し、輸入し、技術を手に入れてきました。
そんな私たちは世界に比類ない「器好きな」人種なのだと思います。
それは手仕事の職人が、豊富で優秀な国だったからではないでしょうか。
 しかし、残念ながらこの2〜30年でも、非常に少なくなった職種が、
少なくありません。
近年まで、職人を尊敬し大切にして来た私たちなのですが、
今もそうだとは言えない現状だと思います。
豊になるごとに、私たちは機能的という錯覚から、
心の豊かさのバロメーターといってもよい、
手の仕事への理解や、見いだす目を無くしていったと、思っています。
 たとえば、ほとんどの人が「ムクの木がよい」と思いながら、
掃除のしやすさから、指し物の家具より合成樹脂のテーブルを、
鉋がけされた床板より、紙のように薄い木を樹脂コーティングした床材を選んでいます。
いくら手入れが楽でも、ステンレスの皿や椀だけでは味気ないでしょ。
よく出来ているからといって、型に流し込まれてプリントで出来上がった皿や、
プラスチックの素地に合成樹脂塗装の椀でいいと、思いたくありません。
多少面倒な手間も、生活する楽しさに置き換えられるなら、
手の仕事から作り出された器は、私たちに必ずそれ以上の、
心の豊かさを教えてくれるはずです。
少しずつですが、このブログで、
手で作られた器の、見方、魅力、選び方、買い方、使い方などをお知らせしながら、
私たちの暮らしを、ひとまわりゆとりのある楽しいものにする提案をしていきたいと思います。

               閑庵
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