足で蹴って回転させる蹴轆轤(けろくろ)という、
ちょっとレトロな道具で作りだしています。
モーターで均一な回転を得られる、
電動ロクロに比べて、体力を使うだけでなく、
こつや技術も必要でしょう。
それでも、野波さんが蹴轆轤で生み出した器には、
独特の温かみや瑞々しさが表れています。

水挽きという言葉があるように、
磁土を水で粘りと滑りを良くして、
回転から伸ばし、持ち上げ、膨らまし、形作るのですが、
その伸びていった、轆轤目(ろくろめ)という、
瑞々しい瞬間を止めたような表情は、
マットな白磁も、艶やかな青白磁でも、堅さがなく、
艶めかしくらいに、しっとりとした表情をもちます。

アナログな音楽が、演奏者の息づかいを感じさせ、
そこがヒューマンで温かな、
心和む演奏となるのに似ているかもしれません。
良くも悪くも、蹴轆轤で挽く野波さんの、
息づかいや想いが、そのまま映りこんでいるようです。

蹴轆轤で挽かれた後の削りが、
少ないのも特徴ですね。
轆轤目を多く残すように、最小限の削りで、形を納めています。
これは、厚みや無駄を作らず轆轤を挽くという、
巧みな轆轤挽きの技が必要です。
この柔らかく、温かみのある器を、
手にして頂けると、その感触は倍増されます。
明日から「野波実 白いうつわ展」をぜひご覧ください。
甘庵
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