うつわ屋のつぶやき

うつわ好きの甘庵が、やきもの・吹きガラス・漆器などの、四季折々の身近な和食器を使う楽しさをお伝えします。荻窪銀花で催される企画展の器をご紹介し、使い方から、作り方、作り手のことなど、毎日お伝えします。

削られた肌が美しい

漆器の多くが木胎といわれる、
木の素地に漆を塗り重ねたものです。

木の素地作りはロクロで挽かれたものが中心です。
ロクロは手早く能率的で、普段使いには勝手の良い、
丸い平面を作り出せるからです。
椀や鉢や盆の多くがこの方法で生み出せれています。

用途が少し特別な形や、
他の手作業を加えたものは、
日常の食器より少し華やかなもの、
晴れの器に多く見られます。
また、手を加えることで、
「ひとつだけ」というの個性を引き立てることにもなります。

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面取鉢 ケヤキ 25200円
径31cm 高さ8cm 

松室裕重さんの鉢は、
ロクロで挽かれたケヤキの鉢の側面を、
大胆に面をとることで、ロクロで挽かれた質感とはまた違った、
力強いケヤキの素材感を引き出しています。

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隅切り鉢 楓 40000円
□24cm 高さ4cm

太田修嗣さんの角平鉢は、
ノミで繰り出された、シャープで彫刻的な表情を持ちながら、
凛とした気品を兼ね備えた上質感を漂わせています。

刃物で削ることが出来る、木という素材の、
削られたまま肌を活かすには、
品を失わない感性が必要です。
それには、作り手の力量である、
木との会話をぼくらにわかりやすく聞かせてくれる、
巧みな技の裏付けと、作り手自身が品性と感性を、
兼ね備えていてこそだと思います。

甘庵

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器を肴に

メタボリックにならないようにと、
心がけないとならない年齢になり、
がぶ飲みすれば楽しい年でもなくなり、
舌の方はいい加減でも、
せめて酒を味わう心のゆとりを持たないとと、
年々思うようになった。

量もそうたんとはいらない。
高価な酒でなくても、
舌になれたそこそこの酒が五勺もあれば、
もう十分。

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肴もそう凝ったものはいらない。
香の物でも、佃煮でも、
季節の野菜に塩でいい。

お気に入りの盃を肴に呑む。
しずしずと酒を注いで、
しずしずと呑む。
味を楽しむだけなく、
そんなひとときを過ごすことを楽しみたい。


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漆器は減るほど使える

漆器への誤解に剥げやすいものと、
誤解している方が多いのは、
悲しいことにそういった漆器があって、
その経験からかと思います。

身の回りの塗装されたもの、
たとえば自動車や、自転車のボディの塗装が、
ぶつけたりというアクシデントで、
外圧や衝撃を受けてでないかぎり、
塗装が剥げるということを経験することは、
まず滅多なことではないとおもいます。

同じように塗装である漆器も、
早々簡単なことで、剥げてはいけません。
というより、繰り返しですが、
「木の器を汚れず、扱いやすく、丈夫に使いやすくするために」
漆を塗ったものが漆器です。

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減るほど使えるようにと 縁・見込み・高台は麻布の下地です

確かに中身が木という、金属などより、
不確定要素があったり、四季の温湿度で変形する素材です。
その木の呼吸を止めない漆は、
乾いた皮膜面が、木の四季変化について行く、
他の塗料以上に柔らかさがあるからこそ、
丈夫な漆器が成り立ってします。


urushi544.jpg
木目を活かして椀ですが 摩耗しやすい縁や高台は塗り重ねしてあります

長い時間で生み出された漆器の技術が信頼されて、
日常の器に、幅広く漆器が使われていました。

使う側の優しさや、基本の知識は必要ですが、
それも、身の回りから漆器が減るとともに、
失われつつあるのは残念でしかたありません。

「根来塗り」と表現される漆器があります。
下地から塗り重ね、黒漆の上に最後の朱漆をぬり、
長く使うことで、朱漆が摩滅して、
下地の黒漆が見え隠れする様に、
侘び寂を見いだして数寄人たちに好まれ、
塗り上がったものを、初めからすり減らして、
「根来塗り」して制作され、可愛がられて伝統的に残っています。

この根来の基本は、減るほど使えることから生まれる、
伝統的な技術の裏付けであることと同時に、
そこまで可愛がる使い手の意気込みを、
ぼくらは忘れてはいけないと思います。

             甘庵


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